腸内フローラ検査 INTESTINAL FLORA
腸内フローラとは?
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新しい一つの臓器
動物の腸内には1000種類以上、数億個の細菌が腸内に存在していると言われており、腸内細菌が構成する生態系を腸内フローラと言います。[1]近年、医学領域では腸内フローラが健康に大きく関わり、体細胞を超える数の細菌が多様な構成で存在していることから、腸内フローラが新しい1つ臓器として捉える考え方が提唱されています。[2]
02
腸以外にも良い影響をもたらす
腸内フローラには動物にとって有益な作用をする有益菌と動物にとって有害な作用をする有害菌、有益菌もしくは有害菌の優勢な方に味方をする日和見菌があります。有益菌は摂取した食べ物を効率良く吸収できるようにする、腸内に有害菌が繁殖しないようにする、健康維持に必要なビタミンやタンパクの合成をする働きがあり[3][4]、腸内の環境に良い効果をもたらすだけでなく他の臓器にも良い影響を与え、健康に寄与します。
03
腸内フローラバランスを保つことが大切
反対に有害菌は有害物質を産生し、腸内だけでなく他の臓器に悪い影響を及ぼし、イヌとネコにおいて様々な疾患に関わると言われています[5][6][7]。有益菌、有害菌、日和見菌の割合を適切にすることで健康を維持することが出来るので、腸内フローラのバランスを適度の保つことがとても大事になります。 さらに近年、腸と脳は自律神経やホルモンを介して関連し合っており、脳の状態と腸の健康状態が深く関わっていると言われています[8]。
イヌとネコにおいても、飼い主さんとの関係が良好でストレスが少ない環境にいると、腸内環境の良くなりますし、反対に腸内環境が良いとストレスが少なくなり飼い主さんとの関係がより良くなることが考えられます。
腸内フローラが変動する要因としては、食べ物、運動、ストレス、年齢などが複雑に関わっています[3][9]。良質なフードやサプリメントを摂取することで、体にとって有益な菌を増やすことができますし、適度な運動を行いストレスが減ることで脳と腸内を良好な状態に保つことが出来ます。
腸内細菌バランスに
よる体質の判別
Discrimination of constitution by intestinal bacterial balance
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ファーミキューテス門
「デブ菌」と言われるファーミキューテス門が多いと太りやすい傾向にあります。 -
バクテロイデーテス門
「やせ菌」と言われるバクテロイデーテス門が多いと比較的痩せやすい傾向にあります[10]。
腸内細菌にはファーミキューテス門とバクテロイデーテス門の大きなグループがあります。
どちらかが多く偏り過ぎてしまうと良くないので、ファーミキューテス門とバクテロイデーテス門が適度な比率で存在していることが理想とされています。
イヌとネコの場合、肥満になると心臓病、腎臓病、糖尿病、関節疾患など様々な疾患のリスクが上がってしまいます。
腸内細菌から、痩せやすさ太りやすさを把握してイヌとネコを理想的な体型に維持できるようにしていきましょう。
腸内フローラと
疾患の関係
Relationship between intestinal flora and
disease
腸内細菌の多様性が疾患に大きく関与
腸内細菌の変動が健康や疾患に大きく関わっています。
腸内細菌の多様性(腸内細菌全体の種類の多さ)が減少すると、全体の細菌数が減少します。多様性が低くなってしまうと、腸内の環境の変化に適応できず、腸管の環境が悪くなってしまい、慢性腸炎などの疾患のリスクが上がってしまいます[11][12]。
有益菌のもたらす作用
健康や疾患に関係のある有益菌の代表として、乳酸菌や酪酸菌があります。有益菌の1種である乳酸菌が産生する乳酸は消化管内での有害菌の増殖を抑え、下記の作用があると報告されています[13]。
- 消化管の環境改善(整腸)作用
- 発癌リスク低減作用
- アレルギー低減作用
さらに酪酸菌が産生する酪酸は腸粘膜内における制御性T-cellの分化を誘導し腸炎の制御に関わっていると報告されています[14]。反対にEnterobacteriaceaeやC.perfringensなどの有害菌は体にとって悪い影響を及ぼす有害物質を産生して、腸内環境に悪い影響を及ぼし様々な疾患を引き起こすと言われています[15][16]。ヒトにおいて、腸内細菌の変動が、慢性腸炎、糖尿病、リウマチ、癌などの疾患に関わっていると言われています[17]。
イヌにおいても、腸内細菌の変動が慢性腸炎、膵外分泌不全、消化管型リンパ腫、脳炎などの疾患に関わっていることがわかっており[6][11][18][19][20][21]、ネコでも糖尿病との関連性が報告されています[22]。イヌとネコにおける腸内細菌の研究は国内外で数多くされているので、今後さらに腸内細菌と疾患が関連する報告がされると考えられます。
食事と
腸内細菌の関係性
Relationship between diet and intestinal
bacteria
ヒトもイヌとネコも毎日摂取する食べ物によって、腸内細菌と健康に大きく影響すると言われています。食べ物の栄養成分が複雑に関係することで、腸内環境に関係することが近年わかってきました。
腸内細菌を人工的に変化させる方法として用いられるのがプレバイオティクスとプロバイオティクスがあります。
プレバイオティクスは有益菌の餌となるような成分であり、有益菌を活性化させるために用いられるのに対して、プロバイオティクスは有益菌を直接投与することで腸内細菌を変化させます。プレバイオティクスの代表としてはオリゴ糖があります。オリゴ糖は乳酸菌などの有益菌の餌となり、有益菌の活性を向上させる働きがあります。一方、菌自体をそのまま入れるプロバイオティクスのフードやサプリメントをイヌとネコに与えることで、イヌとネコにとって有益な働きをする菌をそのまま体内に入れて有益菌を増やしたり、有害菌を減少させたりすることができます。
近年、プレバイオティクスを慢性腸炎の犬に投与したところ改善が見られたという報告がされています。
また、フードやサプリメントによって腸内細菌が改善されると、消化管の動きが促進され、便通が良くなり、便のイヤな臭いが減ります。
有益菌を効果的に増やすことができるフードやサプリメントを使用することで、腸内の環境が改善され、イヌとネコを健康に維持することができます。
文献情報はこちら
腸内フローラ検査報告書
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総合評価
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フローチャート
腸内細菌割合/有用菌・有害菌・バランス菌
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腸内細菌の種類が平均より少ないです。腸内細菌の種類が低下すると、環境の変化に適応できなくなり下痢や嘔吐などの消化器症状を起こしやすくなります。食事が偏っている可能性があるので栄養価や食物繊維に富んだバランスのとれたフードと、有益菌の種類を増やすためにも有益菌の餌となるオリゴ糖など のプレバイオティクスを与えましょう。嘔吐や下痢がよくみられる場合は動物病院にて診察をお勧めします。 -
肥満の度合いが良好な数値をとっていました。肥満 の度合いを上げないためにも、脂肪分の高いおやつ やフードを控えましょう。合わせて適度な運動を心が けましょう。 -
ビフィズス菌が平均よりも低い数値でした。正常なワ ンちゃんでもあまり見られない菌ですが、オリゴ糖を摂 取することで増加が期待できます。
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乳酸産生菌が平均よりも高い数値でした。維持する ためにもバランスの良いフードを与えましょう。
「教えてベクタさん!腸内フローラ」
3分動画シリーズ(全5本)
【第1回】おしえてベクタさん! ペットにとっても腸内細菌は重要
動画一覧
【第3回】犬や猫に特有な細菌事情(11月18日配信)
【第4回】犬や猫の腸内細菌の保ち方と改善方法(12月9日配信)
【第5回】腸内細菌の調べ方(12月24日配信)
「腸内フローラ改善!」
3分動画シリーズ(全5回シリーズ)
【第一回】腸内フローラ改善による効果について
動画一覧